【連載:左ききを、暮らす】漫画家 安斎かりん さんインタビュー


左ききの道具店が製作するフリーペーパー「HIDARI magazine」で連載中の「左ききを、暮らす」。さまざまな活動をされている左ききの方に、当店の店長がインタビューをおこなっています。今回はvol.4に掲載された記事をご紹介します!
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現在、漫画雑誌「花とゆめ」で『顔だけじゃ好きになりません』を連載中の漫画家・安斎かりんさん。
累計200万部を突破した、人気コミックである本作。若手注目株の俳優・宮世琉弥さん主演により実写映画化し、3月7日から全国で絶賛公開中です!

(C)安斎かりん『顔だけじゃ好きになりません』
そんなご活躍中の安斎かりんさん、実は左利きでいらっしゃいます。
当店の「左ききの手帳」を愛用してくださっているというご縁もあり、このたびお話を聞かせていただくことが叶いました!
漫画って、左利きにぴったりなんです
鉛筆はもちろんお箸やハサミなど、ほとんどの動作で左手を使っているので100%左利きという感じです。
家庭や学校で利き手について注意されることはなかったのでのびのびやっていましたが、やっぱり小学生の頃は書道で苦労しましたね。いつも我慢して右手で書いていたので、あんまり楽しい時間ではなかったです。
当時から絵を描くのは大好きで、ノートに見よう見まねで漫画を描いては友達に読んでもらったりしていましたよ。
漫画家というお仕事は、たくさんあった夢のうちの一つだったんです。学生の時は本当にいろんなことに興味があって。高校時代は音楽や演劇に夢中でした。
大学生になり「就職する前に思いっきりいろんなことをやってみよう!」と好きだった漫画を真剣に描き始めたところに、運良く編集さんとの出会いがあり今に至っています。
同じ漫画家でも人によって道具の使い方や原稿の描き方は全然違うと思いますが、私の場合、今はネーム※から本番の原稿まですべてデジタルで作業しています。
(※構図やキャラクターの配置、セリフなどを書いた大まかな下描きのこと)
今使っているペンタブレットは、左利き右利きどちらにも対応できるよう、ちゃんと両側にボタンが配置されているので助かっています。画像ソフトの設定も左利き用にカスタマイズしていますよ。
漫画のフォーマットでは「右開き」「右上から左下に向かって読む」「セリフは縦書き」が基本です。みなさん当たり前にご存知のことだと思いますが、これって実はとっても左利きに向いているんです。
実際に描いているときも、左手なら右上から左下に向かって、描き終わった部分を見渡しながら進めていけるので、すごく作業がしやすいんですよ。
これを読んでいる左利きの方で、漫画を描くのに興味がある方がいたら、せっかくのアドバンテージなのでぜひチャレンジしてみてほしいです!
実は、今「花とゆめ」で連載中の『顔だけじゃ好きになりません』にも、土井垣くんという左利きのキャラクターを登場させています。ミステリアスだけど実はやさしくて、読者の方からはとても人気があるんですよ。
自分でつくった設定ではあるんですが、左利きということで勝手に親近感が湧いてしまうので、変に意識しすぎないように気をつけています(笑)。作品をご覧になる機会があったら、ぜひ土井垣くんの左手をチェックしてみてください!

左利きの土井垣くん (C)安斎かりん
左利きというと、少し上の世代の方の辛かった体験を聞きますが、私たちの同世代、そして今の子どもたちの世代と、左利きを取り巻く環境は年々良くなってきていると感じます。
コンプレックスを感じる必要は全く無いと思いますし、私も一人の左利きそして漫画家として「こんなに楽しくやってるよ!」というのを伝えていけたらうれしいです。
<プロフィール>
安斎かりん
神奈川県出身。2015年、大学在学中に「花LaLa Online」で『キス大爆発』にてデビュー。現在「花とゆめ」で『顔だけじゃ好きになりません』を連載中。

(C)安斎かりん
[店長ひとこと]
当店の左ききの手帳をご愛用いただいていることをSNSで知り、それ以来すっかり安斎先生のファンになり愛読しています!
今回は直接お話を伺えるということで緊張していましたが、とてもやさしくいろいろなお話を聞かせていただけて感動でした!
「顔好き」の登場人物の中で、もともと土井垣くんは好きだったのですが、今回左利きということを初めてお聞きして、もう「推すしかない!!!」と大興奮でした。
胸キュン必至のラブコメディ『顔だけじゃ好きになりません』、コミックも映画もぜひチェックしてみてくださいね!