暦のたより:小雪
かおり スタッフ
「二十四節気」にあわせた俳句とイラストで、季節の景色と道具についてご紹介します。
※二十四節気・・・1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの。季節の変化を表す言葉として古くから使われています。忙しい毎日の中で見過ごしてしまいがちな、季節の移り変わりを感じるきっかけになれば嬉しいです。
小雪:11/22~12/6頃
11月22日頃から始まるのが「小雪」(しょうせつ)。
雪が降り始める頃を指しますが、まだ積もるほどではないことから「小さい雪」と表すようです。北国ではすでに、雪の報せがありましたね。
今年は暑い時期が長かったこともあり、急に冬が始まったような気がしてしまいます。
厚手のコートやダウンジャケットを着てしまおうか、悩みつつも我慢してみたり…
夕方がすぐ真っ暗になったり、ぱらぱらと雨が降ったり止んだりする「時雨」(しぐれ)があると、冬は確実に近づいているな〜と思うこの頃です。
[小雪の一句]
ぴたと合ふ急須の蓋や小六月 かおり
季語は「小六月」(初冬)。旧暦十月のことで、「ころくがつ」と読みます。
本格的な冬になる前、日中はぽかぽかと暖かい日が続くことを指しますが、「小春」(こはる)や「小春日和」という言い方のほうが馴染み深いかもしれません。
さて、掲句のモチーフは東屋さんの急須。常滑焼であるこちらは製造の過程で、蓋と胴をすり合わせる「蓋摺り」がおこなわれています。
そのため、びっくりするくらいぴったりと蓋が閉まるんです。気密性の高さは、美味しいお茶を淹れるのに欠かせないのだとか。
寒い季節もとっておきの急須があれば、ゆったりと過ごせそうですね!
<作者プロフィール>
俳句:ばんかおり
左ききの道具店スタッフ。2020年から俳句を作り始め、現在は南風俳句会に所属。日常の中での発見や好きだと思ったものを俳句にしている。イラスト:スミレ
各務原市でイラストや写真を中心に活動。お花や自然、空、犬や鳥などのいきものたちを観察するのが好き。